小児科ではお子さんの病気すべてが診療対象となるため、基本的な位置づけは「子どもの総合診療科」となります。東北大学病院小児科ではこの「総合診療科」に7つの専門診療科が加わった形で30名近くの日本小児科学会専門医が高度医療を提供しています。
血液・腫瘍・免疫グループ
白血病、再生不良性貧血などの血液疾患、固形腫瘍・脳腫瘍および原発性免疫不全症などを中心に、幅広い疾患の治療を行なっています。造血幹細胞移植も積極的に行っており、固形腫瘍への自己末梢血幹細胞移植の他、骨髄、同種末梢幹細胞、臍帯血の移植を実施しております。また、隔週で関係各科(小児外科、放射線科、整形外科、脳神経外科)との合同臨床検討会や、月1回県立こども病院血液腫瘍科との合同カンファを行い、連携強化を図っています。
腎臓グループ
ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、腎尿路奇形、膠原病、ミトコンドリア病、尿細管機能異常症などの腎臓病の診断や治療を行っています。また、慢性腎不全の保存期治療や腹膜透析管理、急性・慢性腎不全の血液浄化療法も行っています。腎生検を年に15件程度実施しています。月1回、関連施設と合同カンファレンスを行い、切磋琢磨しています。日本腎臓学会の認定教育施設であり、腎臓専門医取得に向けた研修が可能です。
内分泌グループ
すべての領域の小児内分泌疾患患者を診療しており、他施設ではあまり診ることのない1型および2型糖尿病や各種の骨系統疾患、血液腫瘍疾患治療後に晩期合併症を来した「小児がん経験者(CCS)」、さらに「成長障害」を伴うさまざまな奇形症候群の患者さんと出会うことができます。1型糖尿病サマーキャンプも行っています。当科は日本内分泌学会認定教育施設となっており、3年間で内分泌学会専門医資格が得られます。
先天性代謝異常グループ
東北大学小児科は先天代謝異常の診断・治療・研究の伝統があり、国内外から「先天代謝異常症センター病院」の一つとして認識されています。アミノ酸代謝異常、有機酸代謝異常、糖原病、ウィルソン病、リソゾーム病などの多彩な疾患を診療しています。治療に関しても、従来の食餌療法、薬物療法に加えて、酵素補充療法(ハンター病、ポンペ病など)、移植療法(骨髄移植、肝移植)などの最新の治療を取り入れ、治療法が無いとされた代謝異常症の新しい治療法に取り組んでいます。
神経グループ
精神遅滞、てんかん、神経筋疾患などの小児神経疾患一般から、脳炎脳症などの急性疾患、さらに注意欠如多動性障害や自閉症などの発達障害まで、幅広い神経疾患の診察を行なっています。特に小児の難治性てんかんに対して外科治療の適応について、専用ビデオ脳波モニタリング室での長時間脳波測定、PET、SPECT、脳磁図などを用いて専門的な評価を行い、てんかん科やてんかん外科と毎月カンファランスを行なっています。
循環器グループ
臨床研修は当科および宮城県立こども病院循環器科の2施設をローテートする形で行っており、胎児期から成人期までの幅広い心疾患患者の診察・治療を経験することができます。先天性心疾患のほか、不整脈や川崎病、心筋炎、心筋症などの診察・治療も行っています。心エコーや心臓カテーテル検査を用いた診断だけでなく、内科的治療やカテーテル治療、デバイス治療、補助循環治療などを経験することができます。症例数も多く多岐にわたりますので研修期間中に幅広い知識や技術を身につけることができます。5年間で日本小児循環器学会専門医資格が得られます。
新生児グループ
東北大学病院総合周産期母子医療センター新生児室は病床数33床(新生児集中治療室 15床)で運営されています。新生児科医7名と後期研修医3名、助産師/看護師52名で診療にあたり、臨床心理士と医療社会福祉士から積極的な支援を受けています。入院患者数は年間300名で、超低出生体重児30~40名、人工呼吸管理80~100名、外科手術20~30名が含まれます。生育限界児、胎児発育遅延、双胎間輸血症候群、胎児水腫、染色体異常、骨系統疾患、先天性心疾患、新生児外科疾患などを診療しています。
東北大学病院 小児科
住所
宮城県仙台市青葉区星陵町1番1号
電話番号
022-717-7287(小児科医局)
担当者
新妻 秀剛(小児科医局長)