東北大学小児科は勅令第137号をもって1917年(大正6年)9月12日に開講し、翌年に佐藤彰先生が初代教授として着任しました。 2011年(平成23年)6月に、7代目の教授として呉繁夫先生が就任し、2017年(平成29年)9月に開設100周年を迎えました。
歴代教授
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初代:
佐藤 彰
(大正7年〜昭和23年)
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2代:
佐野 保
(昭和23年〜昭和35年)
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3代:
荒川 雅男
(昭和35年〜昭和52年)
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4代:
多田 啓也
(昭和52年〜平成5年)
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5代:
飯沼 一宇
(平成6年〜平成17年)
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6代:
土屋 滋
(平成17年〜平成23年)
同窓の先生からは日本学士院賞受賞者 [1989年(平成元年)日沼頼夫先生 成人T細胞白血病のウィルス病因に関する研究、1993年(平成5年)多田啓也先生 高グリシン血症に関する研究] 、文化勲章受賞者 [2009年(平成21年度)日沼頼夫先生 成人T細胞白血病のウィルス病因に関する研究] を輩出しています。
また2006年に創設された日本小児科学会・小児科学会賞におきましても、同窓の先生から、
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藤原哲郎先生(第2回 2007年「新生児呼吸窮迫症候群(RDS)に対する人工サーファクタント補充療法」)
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多田啓也先生(第4回 2009年「高グリシン血症に関する研究—病態を通して生理を知る」)
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東音高先生(第5回 2010年「Chediak Higashi症候群の発見」)
と3人が受賞されており、東北大学小児科がこれまでの日本の小児科医療に果たした役割が大きいことが伺われます。
平成24年4月1日、宮城県からの寄付講座として小児科医師育成寄付講座が開講しました。
医師のキャリアアップにとって魅力ある小児科医師育成プログラムを確立し、全国から医師を呼び込み、質の高い小児科医師を養成し、小児科医師が不足している県内各地に配置することを主な目的としています(平成28年3月31日をもって終了)。
平成25年2月1日、東北大学病院が「小児がん拠点病院」に指定されました。「小児がん拠点病院」は厚生労働省が全国で15病院を指定するもので、東北大学病院は東北ブロックの拠点となります。今後、連携病院である宮城県立こども病院と協調し、東北地方の小児がん診療を充実させていきます。
荒川記念賞
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荒川雅男名誉教授(小児科学第3代教授)の名前を冠した賞です。
該当年に優秀な研究論文の発表のあった若手研究者から選考されます。
第1回(S52)
成沢邦明
N5,10メチレンテトラハイドロ葉酸還元酵素欠損によるホモシスチン血症に関する研究
第2回(S53)
鈴木宏
乳幼児下痢症の起因ウィルスに関する研究
第3回(S54)
五十嵐裕
糖原病I型の新しい亜型 -肝ミクロゾーム膜のグルコース-6-燐酸輸送障害-
第4回(S55)
土屋滋
アデノシン・デアミネース欠損症より樹立したリンパ芽球様細胞株のS-アデノシルホモシステインヒドロラーゼ活性
第5回(S56)
高田五郎
ライソゾーム蓄積病に対する酵素補充療法の開発に関する研究
第6回(S57)
早坂清
高グリシン血症
第7回(S58)
田澤雄作
小児消化器・肝・胆道疾患における胆汁酸代謝
第8回(S59)
宮林重明
先天性高乳酸血症に関する研究
第9回(S60)
大浦敏博
脳回転様網脈絡膜異常を伴う高オルニチン血症の病因に関する研究
第10回(S61)
該当者なし
第11回(S62)
中井博史
遺伝子工学による染色体異常の研究
第12回(S63)
松原洋一
イソ吉草酸血症と中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症 -各々の原因酵素のcDNAクローニング-
第13回(H1)
呉繁夫
久米晃啓
高グリシン血症の分子遺伝学的研究
第14回(H2)
菊地正広
メチルマロン酸血症、3-ハイドロキシ-3メチルグルタル酸尿症の簡易酵素診断法の開発
第15回(H3)
今泉益栄
Retinoic acidによる急性前骨髄性白血病(APL)の分化誘導
第16回(H4)
相川純一郎
Peroxisome病の研究 -W顆粒の発見-
第17回(H5)
根東義明
尿濃縮障害へのアプローチ -腎髄質対向流系受動説の証明-
第18回(H6)
鈴木洋一
ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症の分子遺伝学的研究
第19回(H7)
横山浩之
中枢ヒスタミン神経系とけいれん
第20回(H8)
永野千代子
腎炎発症因子としてのリゾフォスファチジン酸の機能研究
第21回(H9)
萩野谷和裕
ミトコンドリア病筋組織におけるチトクロムC酸化酵素の不均一性の研究
第22回(H10)
森本哲司
低分子蛋白尿患者におけるCLCN5の解析
第23回(H11)
坂本修
ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症のビオチン反応性の機序
第24回(H12)
武山淳二
ヒト胎盤及び胎児組織におけるエストロゲン代謝
第25回(H13)
西尾利之
新規プロスタグランジン輸送体(moat1; Multiple Orgabic Anion Transpoter)の分子生物学的同定と機能解析
第26回(H14)
虻川大樹
新生児胆汁うっ滞症の病態に関する研究
第27回(H15)
宗形光敏
皮質形成異常の核磁気共鳴の手法を用いた研究
第28回(H16)
一戸明子
ニューロン新生領域におけるグリシン開裂酵素の発現に関する研究
第29回(H17)
箕浦貴則
Helicobacter pylori感染への年齢及び感染期間の影響について
第30回(H18)
内山徹
安全性を高めたX連鎖性複合免疫不全症(X-SCID)に対する遺伝子治療:自殺遺伝子の遺伝子治療への応用
第31回(H19)
植松貢
腎尿細管異形成症(Renal tubular dysgenesis)の病因遺伝子の解明
第32回(H20)
笹原洋二
Wiskott-Aldrich症候群における分子病態の研究
第33回(H21)
涌澤圭介
「空気を読む」の空気とは?:fMRIによる状況認知の脳ネットワークの解明
第34回(H22)
中山東城
Dravet症候群におけるSCN1A遺伝子プロモーター領域の欠失
第35回(H23)
鎌田文顕
全ゲノム関連解析による最初のもやもや病遺伝子: RNF213の同定
第36回(H24)
森谷邦彦
ヒト化マウスを用いたMLLキメラ遺伝子関連白血病多段階発症モデルの開発
第37回(H25)
渡辺祐子
WASP蛋白分解の分子機構と機能的意義
第38回(H26)
柿坂庸介
小児頭痛に随伴する症状の多様性とその診断的有用性に関する研究
第39回(H27)
福與なおみ
菊池敦生
潜因性West症候群の遺伝学的背景の解明
第40回(H28)
三浦雄一郎
人工胎盤の開発に関する研究
第41回(H29)
内田奈生
アドリアマイシン腎症に対するヒトMuse細胞投与の腎機能改善効果
第42回(H30)
工藤宏紀
ステロイド感受性ネフローゼ症候群の病因遺伝子群の同定
第43回(R1)
和田陽一
新型ガラクトース血症IV型の発見
第44回(R2)
岩澤伸哉
JIP3をコードするMAPK8IP3のrecurrent de novo バリアントは痙性麻痺・知的障害・脳梁低形成を引き起こす
第45回(R3)
新妻秀剛
Taspase1は基本転写因子TFIIAの切断を介して胎児造血・骨格形成を制御する
第46回(R4)
中野智太
IMAGE-I症候群における新規POLE遺伝子変異の同定と機能解析
第47回(R5)
川嶋明香
GNAS 座位へのレトロトランスポゾン挿入が関連する家族性偽性副甲状腺機能低下症1B型
成澤・松原賞
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成澤邦明名誉教授(遺伝病学初代教授)の名前を冠した賞です。
第20回の令和元年度より松原洋一名誉教授(遺伝病学二代教授)の功績をたたえ、成澤・松原賞と改名されました。
該当年に遺伝病学あるいは遺伝医療に貢献のあった者・団体から選考されます。
第1回(H12)
青木洋子
ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症におけるビオチン依存の分子機序
第2回(H13)
藤井邦裕
糖原病Ia型の新しい遺伝子診断法 -TaqMan-ASA法による点変異検出-
第3回(H14)
高柳勝
非ケトーシス型高グリシン血症のグリシン脱炭酸酵素遺伝子とその偽遺伝子の構造決定に関する研究
第4回(H15)
該当者なし
第5回(H16)
鎌田文顕
小児および成人喘息におけるhCLCA1遺伝子の関与に関する研究
第6回(H17)
該当者なし
第7回(H18)
新堀哲也
ヌーナン症候群およびその類縁疾患の分子遺伝学的研究
成澤賞特別賞
青木洋子
RAS/MAPKシグナル伝達異常による先天奇形症候群の分子遺伝学的研究
第8回(H19)
菅野潤子
MLPA法によるGLDC欠失変異検出系の確立と欠失スクリーニング
第9回(H20)
鳴海洋子
Cardio-facio-cutaneous症候群の遺伝子解析と臨床像の検討
第10回(H21)
該当者なし
第11回(H22)
小林朋子
ヌーナン症候群類縁疾患におけるRAF1遺伝子解析とその発症メカニズム解析
第12回(H23)
該当者なし
第13回(H24)
阿部裕
コステロ症候群・CFC症候群の全国実態調査とその病態の解明に関する研究
第14回(H25)
南條由佳
Noonan症候群類縁疾患と小児血液腫瘍におけるCBLの分子遺伝学的解析
第15回(H26)
該当者なし
第16回(H27)
守谷充司
CFC症候群の成獣モデルマウスの作製と病態解析
第17回(H28)
矢尾板全子
Noonan症候群類縁疾患におけるRIT1遺伝子解析と臨床的特徴の検討
第18回(H29)
片山紗乙莉
GATA2
遺伝子ヘテロ欠失はEVI1誘導性白血病の発症を促進する
第19回(H30)
竹澤祐介
満期産脳性麻痺群の遺伝学的解析 -17例中9例で候補遺伝子変異を同定-
第20回(R1)
梅木郁美
LZTR1変異を持つヌーナン症候群患者の臨床像とLZTR1機能に関する研究
第21回(R3)
堅田有宇
Costello 症候群モデルマウスにおけるアレルゲンによる皮膚炎の誘発と病態メカニズムの解明
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